旅立ち

8月1日

海

小笠原ダイビングが決まった。会社に勤めている以上、一生行けないと思っていた小笠原。 夏休みのタイミング、予約のタイミングが上手くいき、今回実現したのである・・・。

まだ、出航していないのに、乗船後10分間で4回も泣いた。兄弟ともまだ小さいので すぐ、兄弟喧嘩をするのだ。普段なら仕方がないことだろうが、これから25時間 にも及ぶ船旅が始まろうとしている。先が思いやられる。

働き者のミミー(と呼ばれていた女の子)が活発に動いている。大勢の子供を統率している1人だ。
『ハーモニーセンター』という団体らしい。どんな団体なのか??僕らのライバル出現か・・・?!

乗船する時に整理券を配られる。それによって、25時間半の船旅の陣地が決まるのだ。
並ぶ時に、前後に危険な(?)人がいないか、確認した方がいいだろう。

船室  乗船して、2等船室に入っていき、ビックリ! 毛布が敷いてあり、その上に枕と、上にかける毛布が1人に一組ずつ置いてある。 その場所が狭いこと狭いこと!180cmの僕だと膝を曲げて寝転んでまだ、はみ出してしまう。 いったいどうやって、眠ればいいんだ。

しかも、上にも書いたが、僕の左側には元気な子供達の団体、前には子連れの家族がいる。 これから、どうなるか。
(僕らも『トンデモ』*注で行く時は、はたから見たらうるさい団体だなと思われているかも、と考えた。 少しは気を付けなくてはと思う。むり?)

 定時の10時に出航した。気を取り直して、買っておいた弁当を食べる。 もちろんビールも竹芝の酒屋で買っておいた。(安いから。)
でも、見える範囲の客に食事をしている人はいなかった、ましてビールを飲んでいる人は皆無、 船室に残ってる人があまりいない・・・。
きっと甲板にでも出ているのだろう。この場所に長くいるのが嫌なのであろう。

11時5分前ぐらいにちょっと仮眠をとり、 4時過ぎに目を覚ます、5時間は寝た計算になる。なが〜い仮眠。 のこり、20時間ちょっと、あと765Km

19時15分前、未だにごろごろしているだけ。 今日は一日ゴロゴロしてすごしたような気がする。
 ちょっと、洗面に外に出て戻ってきたら!2等船室内は真っ暗になっていた。消灯だ(22時)。 ハウジングのグリスアップだけして、12時10分ごろ、寝ることにする。
膝を折り曲げ、ちっちゃくなって何とか眠りに着いた。

船中泊

8月2日

7時ごろ目を覚ます。なんだか本当に寝て過ごしているような気がする。
普段こんなに寝たことがないので別にいいのだが、せっかくの船旅を寝てばかりいては、 なんだかもったいないような気がする。でもまだ眠い、もうちょっと寝よ

先ほど、アナウンスで「定刻よりも30分早い11時に到着します」と言っていた。
航海は順調のようだ。
7時34分、父島まであと123Km、もうすこし、もうすこし。

10時過ぎ、アナウンスは店じまいや、下船の準備などになっている。しかし、SUNはまだ毛布の中、 いったい何時間寝れば気がすむのか、普段あんなに寝てるのにネ(って、誰に言っているのだろう)

小笠原諸島 もうすぐ入港ということになって、なんだかソワソワしてきた。
これからどんなダイビングが待っているのか、どんな海が僕らを迎えてくれるのか、とても楽しみだ。 それにしても、未だに寝ている彼女っていったい・・・。

荷物の整理をして、甲板に上がってみる。遠くの方に島々が見える。 これが小笠原諸島か、どれが父島かわからない・・・。
船室に戻る。30分前、未だに起き上がろうとしないSUN
島は見え、トビウオが飛び、遂に着いたという実感がしてきた。



上陸 11時アナウンス通り小笠原、二見港に着いた。
船をおりて、今回利用するサービスのパパスダイブスタジオの看板をさがし、受付けを受ける。

宿は「ターンハウス美津」TOWNと書いてあったのでタウンなのではと思うが、ターンらしい、 そんなことはどうでもいいのだが、その宿からの迎えはきていない。

パパスのスタッフが送ってくれると言っていたが、全員そろってから移動するだろうし、 まだまだ移動しそうにないのと、もともと美津に予約を入れる時に、うちは港から近いので、 迎えに行きませんと言っていたので、送ってもらうまでもないだろうと、 サービスの人に言って歩いて行くことにした。港を出て右の方に歩き出す。

すぐのところに歩道用のトンネルがあったが、そこには入らずに道なりにすすむ。 しばらく進むと(といってもまだ、港の端の方)パパスの車が出てきて美津まで行きますよ、と言う ラッキーと言うか、ダッサ!
もうちょっと待てばこんなに苦労する事はなかったし、こんな恥ずかしいことになることもなかったのに、 でも、人間が腐っているので、乗り込む・・・。

美津 美津に着き荷物を下ろす。器材だけ玄関先に置き、残りの荷物をもって部屋に案内してもらう。
部屋はニ階の角の部屋だ。ベットが二つ、テーブルが1つ、クーラー、TV、冷蔵庫、民宿にしては なかなかいい感じだ、テレビが有料でないのがなおいい。

ダイビングのピックアップは12時30分、まだ少し時間はあるようだ。 でも、さっそく準備を始める、カメラのセットアップがあるからだ。 換えのレンズとポートを準備して、日焼け対策、僕は、すぐ皮が向けてしまうので 弱めの日焼けクリームを顔と首から肩を中心に、体全体に塗り準備オッケイ!



カメラと手荷物を持って階段をおりる。降りながらふと気付く、僕達昼飯食べてなくない? 時間はすでに、予定の10分前、急いで船の中で食べたパンの残りと、これまた残りの水を 部屋に取りに行き、玄関の奥のソファで食べる。

小笠原、発のダイビング、予定よりも少し遅れてピックアップの車が到着した。
僕達は玄関の中のソファーに座っていたのだが、車が来たので、ノソノソと出ていくと 車は人を満載して出て行ってしまった。まさか、このまま来ないなんて事ないよね?
いくら何でも名前ぐらい確認して行くでしょ、と言いながら、しばらく待つと お客さんを下ろして、戻ってきてくれた。ふうっ、ちっとあせったゾ。

港に着くと、パパスの船、パパスアルファが止まっていた。 船に乗り、器材のセッティングをして、いざ小笠原ダイビングへGO!

小笠原1本目のポイントは「双子岩」

カノコイセエビ、ユウゼン、ハダカオコゼ、モンガラカワハギ、テングダイ、 等の魚を見た、伊豆七島を思わせる魚達。
ガイドさんが、なにやら岩の下を探している。
そして、それを見つけたらしく、皆を手招きで呼ぶ。
そこにいたのは、小さなカニである。

しかし、よく見ると、両方のはさみがなにやらふわふわしている。
キンチャクガニだ。 左右のはさみを交互に上げ下げして、とても可愛い。
大きさにして、2〜3センチと言ったところか。 その時、僕のカメラのレンズは24mm、撮影はあきらめた。

エキジット後はすぐに次のポイントに移動する。 僕はカメラのレンズを100mmマクロに交換する。
しばらく休憩して、小笠原2本目のポイント。その名は「南浮礁」

ユウゼン、ハタタテハゼ、レンテンヤッコ、カンムリベラ、 等の魚達を見る。中でもユウゼンの幼魚はとても可愛かった。 岩の影から、ほとんど姿をあらわさなかったので、これまた撮影不能(残念・・・)

そろそろエキジットの時間だということで水深を浅める。 360°ブルーな世界だ。
ふと気付くと、下の方にブルーではない場所が一箇所あることに気付く よく見ると、動いているではないか。

エイだ!

かなり深い、今から追い掛けるのは無理だ、このまま見ているしかないのか、 近くに言っても見るだけだが・・・。

マンタ?確かに、頭はとがっていない遠いので、耳までは見えなかったが、 そうかも知れないと思った。しかし、そうなるとこれが初マンタになる。
初マンタの時はもっと、迫力満点で見たいと思っていたのに。

このままでは、ログブックにどう書けばいいのだろう。
しかし、僕にはどうすることもできず、エイはさらに遠くの方に消えて行ってしまった。
仕方なく、そのままエキジット、ボートのはしごに捕まり、カメラ、フィンと上の人に 渡して、タンクを背負ったままはしごを登る。

ボートにあがってから、さっきのエイについて聞いてみる。
どうも、マンタではなく、ウシバナトビエイという種類らしい。 ちょっと、複雑な気持ちだ。

今日のダイビングはこれでおしまい。港について宿まで送ってもらう。
宿に戻ると、先の便で帰ってきた人が、すでに器材を洗っていた。 話を聞くと、彼女達は1週間前から来ているらしい。
小笠原の様子を聞くと、「何か、私達の地図から消えそうで・・・。」 そんなによくないってこと?
「でも、今日の1本目は割と魚影が濃かったですね」あれでも良かった方なのね。
「マグロ穴も20匹くらいしかいなかったし・・・。」とのこと。
まだ小笠原ダイビング1日目、先が思い遣られる・・・。

僕達もバケツにカメラを浸け、部屋に戻る。
風呂場は宿全体でいくつかあり、空いたすきを見て次々と風呂に入る。 っと言っても、シャワーしか使っていないが・・・。

風呂を済ませ、食事をすませ、 ターンハウス美津に併設されている美津ストアーを覗いてみる。
そこで、ジュースやらを買い、店を出る。

そのまま昼間見たトンネルを抜け、港の方へ向かう、トンネルの中は電気は付いているのだが、 どことなく恐い感じがする。そのトンネルを抜けると、港のところに出る。
港には、25時間以上お世話になった小笠原丸が停泊している。

港の中を散歩する。コインランドリーがある。
小笠原丸は停泊しているあいだ、ホテルシップとして運営していいる。そのための施設だろう。
そのまま港をぬけ、街の方へ町外れのお店をいくつか覗き見して(のぞいただけ) 港のはずれの自動販売機でビールを買い込んで今日は引き返す。

今度はトンネルをくぐらずに、海岸線沿いを帰ることに、途中水産センターの脇を抜け宿に戻る。
宿に戻るとさっそく乾杯、 船の長旅も効いたのか、そのまま酔っぱらって倒れた様に眠りについてしまった。

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