初代EOSKiss

私は以前からダイビングを趣味としており、水中撮影もしていた。
それで使っていたのが、これ、 初代 EOS Kiss である。
当時は金がなかったので、水中ハウジングセットとこのカメラを買うためにローンを組んだ。
そして、それがいきなりカリブ海に浮かぶボネール島という辺鄙な島だったのである。

空港に着き、入国審査では日本人が非常に珍しいらしくいろいろと聞かれた。
どうやら、我々が今年になって初めての日本人で、去年も1グループだけだったと言う。
そして、その去年のグループもまた、私の仲間だったりするのである。

さて、初めての水中撮影である。
銀塩Kissは小さいとはいえハウジングは大きく重い。
それを持って潜るのだから、かなりの緊張である。
しかし海はすばらしく、時の経つのも忘れて撮りまくった。
その時に撮ったのが、この写真である。

そういえば、この時に驚いたのがドイツ人。
ボネールは日本ではほとんど知られていないがヨーロッパではメジャーなリゾート地である。
そのため、ヨーロッパ人が多いのだが、彼らは日本人とは体の造りが違う。

我々が水深20mあたりで潜っていると、上から裸のダイバーが降りてきた。
ボネールはカリブとはいえさほど水温は高くない。
ウエットスーツを着ていてもけっこう寒く感じる。
ところがそのダイバーは、海パンにBCDをつけただけの格好で一気に潜行してくると、
そのまま我々を追い越してずんずん潜っていってしまったのである。
そして、ついには我々の視界から消えた・・・・
変です、絶対。水深40mは軽く越えてます。
わしらなら死にます。

で、なぜそいつがドイツ人と思ったかって?
私の頭には、寒さを感じないのはドイツ人と深く刷り込まれているのです。


さて、その日。
愛機Kissは、なんと浸水の憂き目に遭ってしまったのだ。
水深30mと言えば約4気圧だ。ほんのわずかな埃が挟まっているだけでも浸水する可能性がある。
シャッターボタンには外から操作するためのアーム触れているので、内部に侵入した海水は
それを伝ってシャッターボタンに流れ込んでいた。
そして、電子部品の塊であるカメラは、水分に弱い。
そこにこともあろうに海水が入るのであるから、無事に済むはずがない。
私は半分涙目であった。初日で浸水してパーなんて・・・・
ところが、予想に反してカメラは最終日まで何の問題もなく動きつづけたのである。
フィルムも無事であった。

日本に帰って修理に出すと、基盤その他を全交換することにはなったが、それ以降も何事もなかったかのように働きつづけた。
そうして、何本ものフィルムを撮りためていった。

時は流れ、今の私はデジタル一辺倒になっている。
フィルムカメラはもう何年も使っていない。
久しぶりにKissを取り出すと、電池はとうに切れ、動かなくなっていた。
ちょっと哀れになったので、せっかくなのでレンズをつけてみた。

うちで一番高いレンズだ。


こうして見ると、さほど不自然でもない。
ただ、プラスチックマウントなのでこんな重量級レンズをつけると少々不安だ。

今見るとこのカメラ、プレビュー機能はないし、なんと視度調整すらない。
近眼の私は、こんなファインダでは当時でもロクに見えていなかったはずなのだが・・・・

せっかくなので、20Dと並べてみた。


20Dにはうちで一番安いレンズ、50mmF1.8だ。
こうして見ると、やっぱり20Dはデカいな。

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