最初のバージョンは途中経過の写真がなかったのと、仕上がりがイマイチだったために一から作り直してみた。
ニコン マグニファイングアイピース DK-17M まずはこれがなくては始まらない。 ファインダーを1.2倍に拡大するファインダーアイピース。 こんな簡単なことならキヤノンが純正を出せ、と思うが無理だろうなぁ。 |
|
ニコン アイピースピースアダプタ 「アイピースアダプター DK-7」というよく似たものがあるので、間違えないように注意。 なんとも紛らわしいが、こちらは型番のない「アイピースアダプタ」だ。 実はこれだけでも20Dに装着可能なのだが、これはファインダー窓に対するひっかかりがなく、簡単にポロリと取れてしまうのだ。そこで、しっかり固定できるキヤノン純正アイカップを併用するのである。 加工中に破損しやすい部品なので、予備を買っておくことをお勧めする。 |
|
キヤノン アイカップ Eb 20Dにもともとついているものと同じもの。 |
|
ニコン 接眼目当て DK-19 特に必須というわけではないが、これがないと目の周りから光が漏れてすこぶる見栄えがよくない。 |
|
武藤商事 プラリペア + 型取り君 アダプタを整形するための材料。 粉を液で溶かしてくっつけるだけでプラスチックになってしまうという魔法のような素材。 |
ヤスリ | 平やすりと丸やすり。 削る作業にはこれを一番良く使う。 |
ルーター | 私が使っているのはPROXXONの28511。 プラスチックを切ったり削ったりするには最適で、最終仕上げで磨くことまでできる。 ダイヤモンドカッター、ハイスカッター、砥石、バフ等が必要。 |
カッターナイフ | 実はほとんど使い物にならない。 |
アイピースアダプタをDK-17Mに合うように削る。
ファインダーに装着する爪を完全に削り取り、内側を丸ヤスリで削りまくって広げる。
最初は大雑把に削るが、ある程度径が広がったらDK-17Mをあてがいながら注意深く削っていく。
コツとしては、一箇所を一気に削るのでなくパーツを回しながらヤスリを斜めに当てて円周を均等に削ることである。
また、一部を削りすぎてくぼんだりしないようにでっぱりがある場合はそこを均等になるように削る。
とりあえずこれぐらいまで荒削り。
ここで削りすぎるとDK-17Mがしっかり固定できなくなるので注意。
ヤスリで極力凹凸をなくしたら、電動ルータの研磨用ビットで内側を整える。実はこれの径がDK-17Mよりわずかに細いので、これで注意深く削ることできれいに真円状に加工できる。
これがない場合は、丸やすりで根気良く削る。
この時、少し削ってはDK-17Mを実際にねじ込んでみながら注意深く作業を進めること。
DK-17Mのネジが抵抗がありながらもアイピースアダプタを削りながら入っていくぐらいが理想的。
きつすぎるのを無理にねじ込むとアイピースアダプタが簡単に割れるので、少しでも入らないと思ったらひっかかっているでっぱりを探して削りなおすこと。
まず、下の赤線の部分で切り離す。
内部は少々複雑な形になっており、この下は空間になっている。
この線の内側の残す部分は反対側まで繋がっているので、その部分を誤って切り取らないように注意。
これを普通のカッターなどで切るのはなかなか大変なので、私の場合はルータの回転ノコとダイヤモンドカッターを使って切断した。
切り出しに成功するとこんな感じに分離できる。
次に、表側のパーツを切り離す。
この写真はアイカップを下側から見たものだが、薄い板が二枚ある。
これの内側というかカメラ側の一枚を残して表側を切除するのだ。
下の部分はもともと分離しているのだが上のほうは接着されているので注意して削り取る。
こういう状態から、
まず簡単に切れる部分をニッパで切り取って・・・・
残りはルータやヤスリで削り取る。下の残した薄い部分と面イチになるように削る。
ここは後で隠れてしまう部分なので仕上げには拘る必要はない。
こういう状態になった両者を、
削った面同士をこんなふうに接着。
位置は、アイカップの四角窓とアイピースアダプタの丸窓がきれいに収まるようにすればOK。
後でプラリペアでがっちり固めるので、ここでは瞬間接着剤でほんの軽くつけるだけで構わない。
次に、プラリペアを使って整形する。
まずは型取り君を使ってDK-17Mが収まる部分やはみ出しては困る部分をマスクする。
そして、プラリペアを盛っていく。
プラリペアはアイピースアダプタとアイカップと融合しながらプラスチックそのものになるので、さっき適当に接着した部分もがっちり固められていく。
コツとしては、アイピースアダプタの薄くなった上下の輪の部分に肉盛りをして補強することと、その周りにも滑らかになるように肉盛りをして全体的にがっちり固めてしまうことである。
ここでは多少の凹凸は気にせず多めに盛って後で削る方がよい。
また、ある程度盛ったら一旦乾かし(気温が高ければほんの数分で硬化する)、ヤスリでバランスを見ながら形を整える。
ここでくぼんでいる部分があれば、そこにプラリペアを盛って形を整える。
ちなみに、写真では黒に見えるが、今回使ったのはクリアのプラリペアである。
完成すると地の黒が透けて「透明感のある黒」といった仕上がりになる。
白や黒などの色があるプラリペアよりもクリアの方が応用範囲が広い。
さて、こうして肉盛りと研磨を繰り返し、最終的にバフで磨いたものがこれである。
EOS-1v系の有機的デザインと言ったら言い過ぎか?
ここは、自分の納得がいくまで好きなように加工しまくっていただきたい。
これは無塗装だが、塗装すればもっと見栄えはよくなるだろう。
DK-17Mのネジの先には6つの突起がある。
これが0.8mm程あるので、これも削ってしまう。
絶対にレンズを傷つけないように慎重にヤスリがけをすること。
これは自信がなければ無理にすることはない。わざわざこれをやったところで、0.8mmほどファインダーに近づくだけで、ケラレにもほとんど影響はない。
単なる自己満足である。
アダプタにDK-17Mをネジ込む。
うまくいけば、このようにほぼぴったりはまり、ネジの末端が内側のパーツにちょうど当たる位置まで入る。
最後にDK-19を装着してできあがり。
DK-17Mを削った場合 | 削らなかった場合 |
DK-17Mの加工まで行った場合はぴったり収まるが、加工しなかった場合は0.8mmほど隙間が空く。
つまり、DK-17Mはよりファインダーに近づくのである。
この差によってファインダーの見え方が変わることはほとんどないのだが、完璧を求める向きはぜひここまでやって欲しい。
DK-17Mを削った場合に、アイカップの突き当たりまでの厚さとDK-17Mのネジ部の長さが絶妙なのだ。
さらに、DK-19はこのままだとすっぽん(トイレが詰まった時に使う例のアレ)のように目に貼りついて大変に不快だ。
なので、下側にごく小さな空気抜きの穴をつけておくと、貼り付かなくなり劇的に使い勝手が向上する。