Nikon DK-17Mを20Dに装着する

2005/9/24 さらに一から作り直して 2nd edition 完成!
2005/8/10 ついに純正アイカップを使った完全版完成 !

DK-17M は、ニコンがD2シリーズ用にリリースしたファインダーアイピースである。
これはファインダーを1.2倍に拡大するというスグレモノで、こんなことができるんなら最初から接眼部に組み込んどけよ、と思わなくもないが、いろいろと大人の事情というやつがあるのだろう。

さて、これはいわゆる「丸窓用」というやつなので、このままでは20Dには装着できない。
D70などの角窓ファインダーに丸窓用アクセサリを装着できるアイピースアダプタというものがあって、これは20Dでもそのままはまる。
ところが、残念ながらこれは昔の丸窓用であって最近の丸窓とは径がまるで違うのである。

そこで、アイピースアダプタを削って合わせてしまえ、という発想で削りまくったのが、これ。
左が無加工、右が加工済みだ。



薄っっっ!

DK-17Mの径に合わせようとすると、ここまで削る必要があるのである。
下の部分なんぞ、厚さは1mmほど。いまにも折れそうだ。
しかしDK-17Mは高い(アイピースアダプタは150円ぐらい)し、アルミでできているので、DK-17Mの方を削るわけにはいかないのである。

とりあえずネジこんでみる。



ちょっと隙間が空いてるが、このまま最後まで根性でネジ込むとぴったり入った。
削ったときの径がまさに絶妙で、まさにネジ切りされているかのようにしっかりとはまった。
完璧である。
ここで径が小さすぎればネジ込んだときに薄い部分が割れる危険性があるし、大きすぎればガタが出る。
コツは、何度もテストを繰り返しながら根気よく削ること、それに尽きる。
そして、ねじ込むにはちょっとキツい、というあたりでやめておく。
そこから、無理矢理ねじ込むとアイピースアダプタのプラスチックがやわらかいので勝手にDK-17Mのネジがタップとなってうまくネジができる。
ただしここで無理をしすぎるとアイピースアダプタが割れる危険性があるので、予備を買っておいたほうがいいかもしれない。
ちなみにDK-17Mはかなり丈夫な構造なので、多少無理しても平気。しかしレンズにはなるべく触れないように。


ほら。「もともとこういうもの」だったみたいにぴったり。



さらに、「接眼目当て DK-19」を装着する。
これはDK-17Mにもともとついているゴムのわっかを外し、代わりに装着する。
もともとのアイピースは小さすぎて目の周りから光が入ってどうも具合がよろしくないのだ。
しかし、これはこれでトイレの「すっぽん」のように目に張り付くのが難点。
空気抜きの小さな穴をあけるといいかもしれない。



裏側から見るとこんな感じ。
ぴったりとはまっている。
この最後の部分をエポキシで固めてしまえば完璧なのだが、まだ改造する予定なのでそこまではしていない。

そして、完成図。
見栄を張ってレンズは意味もなくEF70-200LISだ。
ものすごくファインダーが出っ張っていて見栄えは悪い。


さて、肝心の使用感であるが、所詮1.2倍なので劇的に見栄えが良くなるわけではない。
当然、MFするなら2倍のミノルタアングルファインダーの方がよろしい。

しかし、これはケラレがほとんどないし、もちろんヘンな角度もないので普段でも使える。
わずかにMFもしやすくなったような気がするし、しばらくこれを使ってから外して見ると、「ファインダーちっさ!」と思うのでやはり効果はあるのだろう。

なお、アイピーアダプタは純正のアイカップに比べて固定が甘いので、つけたままストラップでぶら下げてブラブラさせておくとDK-17Mが外れて落ちる危険性がある。
なので、現在は純正アイカップを改造して装着することを画策しているが、これはなかなか難しい。
もともと丸窓用のアイピースアダプタだから簡単だったのだ。

キヤノンが純正でこういうものを出してくれればわざわざ改造などする必要もないのだが、あのふざけた値段のアングルファインダーを出すぐらいだから無理だろうな・・・




完全版

これまでのものは、ニコンのアダプターを使っているためにしっかりと固定できず、いつ落とすかとヒヤヒヤものだった。
そこで、とうとう大改造を行うことにした。

まず、純正アイカップをルータでダイヤモンドカッターを使って切りまくる。
残念ながら削るのに夢中で写真を撮るのを忘れていたが、こんな感じの範囲を残す。



この作業は普通のカッターやヤスリではとてつもなく大変なので、ぜひ電動ルータとダイヤモンドカッターを使って欲しい。

同様に、アイピースアダプタのツメの部分もばっさり切り落とす。
切断面はヤスリで平らにして、この二つを接着剤で貼り合わせる。
貼り合わせる位置は、実際にDK-17Mとカメラを組み合わせてファインダーが中央に見えるように調整する。

さて、貼り合わせるだけではこのように隙間が開いてしまうし、アイピースアダプタの薄い部分が割れてしまう可能性が高いので(というか切り取り作業中に実際に割れた)、プラリペアの出番だ。
このプラリペア、接着剤ではなくプラスチックそのものである。
非常に細かいプラスチックの粉末と、それを溶かす溶剤がセットになっており、粉末を溶かしながらパテのように乗せていくと、ベースのプラスチックと融合してわずか数分で完全に一体化したプラスチックになるというスグレモノである。
できあがるのはかなり硬度のあるプラスチックで、このようなプラスチックを固めるのに非常に便利である。
さらに、「型取君」という可塑造形材を使い、固めたい部分をマスキングする。



この型取君は熱湯で温めると粘土のように柔らかくなるもので、暖かいうちにコネコネしてこのような型を作ることができるのだ。
しかも暖めなおせば何度でも再利用できるこれまたスグレモノである。

さて、プラリペアを使って割れた部分を補強し固めたのがこれ。
薄くなっている部分に肉盛りをして補強してある。
見栄えは悪いが強度は抜群である。
元のプラスチックがかなり柔らかい素材なので、もし壊れるとしたらプラリペアではなくその周りだろう。



ちなみにプラリペアの溶剤で部品の方も溶けながら融合するので、エポキシなどのように接着面がはがれる心配もない。

最後にDK-17Mをネジ込んでできあがり。




実際に20Dに装着してみる。
純正アイピースアダプタのように(というか装着する部分は純正なのだが)しっかりと固定され、うっかり外れる心配はまずない。
これでようやく安心して使えるようになった。
しかし、プラリペアの扱いに慣れていないせいで仕上がりがイマイチなので、今度はもっときれいに作り直してみようと思う。



戻る